家の売却後に必要な確定申告書類の書き方・手順を専門家が徹底解説
2023年02月04日
「家の売却をした」あるいは「これから家の売却をする予定がある」というとき、気になることが確定申告ではないでしょうか。
確定申告をしたことがない場合、「どのような書類が必要なのか」、「どうやって確定申告をすればいいのか分からない」と悩む方は少なくないでしょう。
家の売却においては、様々な控除制度が用意されているため、確定申告が不要なケースが多いです。
家の売却における確定申告を円滑に進めたり、控除制度を利用したりするためには、当然ながら確定申告について理解する必要があります。
今回は、不動産売却後の確定申告で必要な書類や手順を解説していきます。確定申告が不要になるケースについても解説するため、ご覧ください。
記事の監修者
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株式会社サプライズコンシェルジュ 代表取締役
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不動産売買仲介・不動産買取歴10年以上
大手不動産会社で売買仲介営業(不動産売買取引100件以上)→不動産テック上場企業の名古屋支社立ち上げ・不動産屋約200社のCS担当→不動産売却マッチングサービス「いえうるん」リリース
資格宅地建物取引士
事業許認可宅地建物取引業 愛知県知事(1)第24918号
記事の監修者(顧問弁護士)
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星ヶ丘法律事務所顧問弁護士
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■プロフィール
平成16年北海道大学法学部卒業 平成20年名古屋大学法科大学院卒業 平成24年弁護士登録 名古屋市内の法律事務所で勤務 平成31年星ヶ丘法律事務所開設
資格弁護士
家や不動産を売却したら確定申告は必要?不要?
家や不動産売却をしたからといって、必ずしも確定申告をしなければならないとは限りません。
確定申告が必要な場合もありますが、家の売却であれば確定申告が不要な場合がほとんどです。
まずは確定申告が必要なケースと不要なケースについて解説していきます。
家の売却時に確定申告が必要なケース
確定申告が必要になるケースは、「不動産売却をした際に譲渡所得がプラスであったとき」です。
譲渡所得とは、売却価格から購入価格と譲渡費用を差し引いたものになります。
譲渡所得=売却代金-購入費用-譲渡費用
上記の時譲渡費用に含まれる費用は、「不動産会社に支払う仲介手数料」や「売買契約書に貼る印紙代」、「土地を売却するために建物を取り壊した場合の代金」などです。
相続した家の取得費に関しては、親などの被相続人が購入した家の金額が分かれば、その金額を購入費用として差し引けます。
相続して購入費用が分からない場合は、売却代金の5%を購入費用として計算することになるため、確定申告が必要になる可能性が上がります。
家の相続をする可能性がある方は、購入費用を確認しておきましょう。
家の売却時に確定申告が不要なケース
譲渡所得がマイナスであれば、確定申告は不要です。
譲渡所得=売却代金-購入費用-譲渡費用
家は、築年数が増えていくにつれ価値が下がるため、上記の計算式を当てはめるだけでプラスになりづらいと考えられます。
家の売却時に発生する特例について
家を売却するときには、譲渡所得を控除できるさまざまな制度・特例があります。
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
- 居住用財産を10年以上所有していた場合の軽減税率制度
- 特定の居住用財産の買換え特例
- 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の繰越控除の特例
- 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例
上記5点の中で最もよく使われる特例が「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。
上記の3~5の特例については、3,000万円の特別控除の特例と併用できないため、あまり発生することがありません。
居住用財産の3,000万円控除とは、マイホームの売却であれば譲渡所得を3,000万円まで控除できる特例で、「譲渡所得が3,000万円以下であれば所得を0円とみなすことができる」ことです。
例えば、本来2,000万円の譲渡所得があった場合、税金が約280万円〜400万円ほど発生します。
しかし、3,000万円特別控除の特例を使えば、税金が0円になります。この特例を使うためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 親族のような身近な関係の人に売却してはならない
- 居住しなくなった(空き家になった)場合、3年後の12月31日までに売却する
- 家を解体し、空き家にした場合は1年以内に譲渡契約を締結する
- 家を解体し更地にした場合は譲渡契約の締結日まで賃貸として他人に土地を貸していない
- 相続した空き家の場合は売却価格が1億円以下であること
- 過去3年間に居住用財産の3,000万円特別控除の制度を使っていないこと
基本的に家を売却するのであれば、この特例が使えるため、譲渡所得における税金額で悩んでいる方は利用できるか確認してみましょう。
家の売却後、確定申告に必要な書類
売買契約書に関して、売却したときだけではなく、購入した際も用意しなければなりません。
確定申告に必要な書類は、税務署で受け取るほか、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。
また、登記事項証明書はオンラインで請求して郵送してもらうこともできます。
さらに、3,000万円特別控除の特例を受けるのであれば、上記の書類に加え以下の書類等が必要になります。
- 戸籍の附票の写し(譲渡した日から2ヶ月経過後に交付されたもの)
- 売却した家に住んでいたことを証明する書類(※1)
- 売買契約時に売却した家に住んでいなかった場合、その事情の詳細が記載された書類(※2)
(※1)電気代や水道代などの公共料金を支払い状況が分かる書類
(※2)住民票に記載されている住所と売却した物件の所在地が売買契約締結日の前日の時点で異なる場合
相続した空き家をすぐに売却した場合は、相続を証明する書類も必要になることがあるため、事前に税務署に確認しましょう。
家や不動産の売却後に行う確定申告の手順
書類が準備できたら、以下の手順に沿って確定申告を進めます。
- 課税譲渡所得を計算する
- 確定申告に必要な書類を用意する
- 確定申告書の作成・提出を行う
順に解説していきます。
課税譲渡所得を計算する
課税される譲渡所得の計算方法は以下の式で求められます。
譲渡所得税=(売却代金-取得費-譲渡費用-控除)× 税率
譲渡費用に含まれる主な項目は以下の通りです。(国税庁より抜粋)
(1) 土地や建物を売るために支払った仲介手数料
(2) 印紙税で売主が負担したもの
(3) 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
(4) 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
(5) 既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で売るために支払った違約金(※3)
(6) 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
(※3)土地などを売る契約をした後、売却する土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金のことです。
譲渡所得に課税される税率は、家を所有していた期間によって変わります。
不動産を所有していた期間 | 税率 |
5年以内の場合(短期譲渡所得) | 39.63% |
5年を超える場合(長期譲渡所得) | 20.315% |
10年以上所有していた場合(軽減税率) | 6,000万円まで14.21%、残りは20.315% |
10年以上所有していた場合は、軽減税率制度が適用され、6,000万円まで譲渡所得の税率が14.21%になります。
9,000万円の譲渡所得があった場合、残りの3,000万円分は20.315%が適用されるため、計算間違いをしないように注意しましょう。
ただし、この軽減税率制度は「3,000万円特別控除の特例」とは併用できますが、それ以外の特例との併用はできません。
確定申告に必要な書類を用意する
以下の表が、家の売却時における確定申告に必要な書類です。
必要書類 | 書類を用意できる場所 |
譲渡所得の内訳書 | 税務署・オンライン |
確定申告書B様式(譲渡所得がある場合) | 税務署・オンライン |
確定申告書第三表(分離課税用の申告書) | 税務署・オンライン |
【譲渡時の書類】売買契約書またはそのコピー | 自宅 |
【譲渡時の書類】譲渡費用の領収書のコピー | 自宅 |
【取得時の書類】売買契約書またはそのコピー | 自宅 |
【取得時の書類】取得費用の領収書のコピー | 自宅 |
登記事項証明書(登記事項証明書) | 法務局・オンライン |
源泉徴収票、マイナンバーカード | 自宅 |
確定申告書の作成・提出を行う
国税庁のホームページの「確定申告書作成コーナー」から書類を作成すれば、案内に従うだけで、納税額が自動で算出されます。
確定申告の書類作成で分からない箇所があれば、作成コーナーの問い合わせ窓口から相談することも可能です。
書類の作成が完了したら、税務署に書類を提出しましょう。
基本的に書類を提出するのは毎年2月半ば~3月半ばですが、年によって若干日程がずれてしまうことがあるため、税務署や国税庁のホームページを確認してください。
書類の提出方法は以下のいずれかです。
- 税務署へ書類を郵送する
- 税務署に書類を持っていく
- 国税電子申告・納税システムで申告する
家や不動産の売却後に行う確定申告の書き方
確定申告をしたことがなく、書類の記入方法が分からない方は、下記を参考にすると良いでしょう。(国税庁:譲渡所得の申告のしかた)
確定申告の書類を記入する中で、具体的に分からない点があれば、当サイト「いえうるん」の公式LINEアカウントへご相談くださいませ。無料で書き方についてサポート致します。
家や不動産売却に関してのご不明点などもあれば併せてご相談ください。
家や不動産の確定申告を依頼する場合の費用
家や不動産の売却をした際は「譲渡費用」「税率」「特例」「減価償却」などさまざま計算をしなければなりません。
個人でも確定申告は可能ですが、不安であれば税理士に依頼するのが簡単で確実です。
税理士に確定申告を依頼する場合の費用は、売却した際の譲渡所得額によって変わることが多く、相場は以下の通りです。
譲渡所得額 | 報酬相場 |
〜1,000万円 | 10万円前後 |
〜3,000万円 | 10〜20万円程度 |
〜5,000万円 | 20〜30万円程度 |
〜1億円 | 30〜50万円程度 |
1億円以上 | 50万円〜応相談 |
事務所によっては、報酬額が「譲渡所得×◯%」という場合もあります。いくつか税理士事務所を調べ、なるべく安く親身になってくれるところを選びましょう。
まとめ:家の売却に困ったときは専門家に相談しよう
今回は、家を売却した際の確定申告の必要書類や確定申告のやり方について詳しく解説しました。
家の売却は高額になることが多いため、まずは3,000万円特別控除の特例が適用できるか確認しましょう。
譲渡所得が発生する場合、必要書類を集めて確定申告をする必要があります。適切に書類を集めなければ、控除額が減り、課税額が高くなる可能性があります。
確定申告について分からないことがあったり、不動産をできるだけ高く売りたいとお考えの方は一度「いえうるん」へご相談ください。