家を現金一括購入するメリット!住宅ローンなしで住宅購入するデメリットについて
2023年02月24日
「家を一括購入すると起こるメリットって何?」
一般的に住宅を買う場合は住宅ローンを組み、長期間で返済していきます。一方で一括購入ももちろん可能なのですが、様々な利点と弱点があります。
この記事では、家を一括購入する利点や欠点、一括と住宅ローン支払いを比較するので、ぜひ参考にしてください!
記事の監修者
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株式会社サプライズコンシェルジュ 代表取締役
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不動産売買仲介・不動産買取歴10年以上
大手不動産会社で売買仲介営業(不動産売買取引100件以上)→不動産テック上場企業の名古屋支社立ち上げ・不動産屋約200社のCS担当→不動産売却マッチングサービス「いえうるん」リリース
資格宅地建物取引士
事業許認可宅地建物取引業 愛知県知事(1)第24918号
記事の監修者(顧問弁護士)
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星ヶ丘法律事務所顧問弁護士
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■プロフィール
平成16年北海道大学法学部卒業 平成20年名古屋大学法科大学院卒業 平成24年弁護士登録 名古屋市内の法律事務所で勤務 平成31年星ヶ丘法律事務所開設
資格弁護士
家を一括購入するメリット
一括で家を購入する利点(メリット)は以下の通りです。
- 住宅ローンの金利負担や諸費用がなくなる
- 保険料や団体生命保険料等も不要になる!
- 値引き交渉がローン支払いよりも容易になる
では、それぞれ詳しくみていきましょう。
住宅ローンの金利負担や諸費用がなくなる
住宅を一括で買うと利子負担や諸費用を払わずに済みます。
日本経済の低調や政府によるマイナス金利誘導によって、住宅ローンは低い変動金利プランで0.4%、高くても1.5%程度に抑えられています。
ただ、金額が大きい住宅ローンは利子だけでも数十〜数百万円になるので、重い負担がのしかかります。
また、住宅ローンを組む際は「融資手数料」や「保証料」など様々な諸費用を払う必要があるので、返済に加えてお金がかかってしまいます。
一方一括で家購入すれば利子に悩まされることはありませんし、諸費用を払わずにすみます。
保険料や団体信用生命保険料等も不要に!
住宅を一括で購入すると、加入時に必要となる保険料や団体信用生命保険は不要になります。
団体信用生命保険とは、ローン支払いができなくなった際に保険会社が債務者に変わって代位弁済する保険のことで、フラット35などのローンを組んでいるケースを除き基本的には加入が必須です。
もし、一括で返済ができているのであれば銀行などの金融機関や保証会社による審査がないので、よりスピード感を持って家を買えます。
住宅一括購入は値引き交渉がしやすい
家を一括で購入してくれる人は、売主側としては大きい金額をすぐに回収できるため、取引しやすい相手です。
したがって、家を一括で買う場合は値引き交渉しやすいです。
ただ、値引き交渉はしやすいもの、周辺の価格との相場が考えられていないような値段設定をする交渉は、売主側の印象を悪くするので常識の範囲内の金額を提示してください。
家を一括購入するデメリット(注意点)
家を現金一括で購入する欠点(デメリット)は4つあります。
- 住宅ローン控除が受けられない
- 消費税負担を減らす「すまい給付金」を受けれない
- 手元の現金が大幅に減る
- 家の一括購入で税務署から連絡がくる可能性もある
住宅ローン控除が受けれない
一括で家を購入すると、「住宅ローン控除」の恩恵がありません。
「住宅ローン控除」とは、マイホームやリフォームをした際に基準を満たすと税金の控除を受けられる制度です。
年末時点で残っているローンの残高1%分を所得税・住民税から差し引くことで最大40万円、最長で13年間控除の恩恵があります。
住宅ローン控除の条件として「返済期間10年以上の住宅ローン」となっているため、一括で住宅を購入する場合は「住宅ローン控除」を受けられません。
消費税負担を減らす「すまい給付金」も受けれない
デメリットその2として、消費税を減らすための制度である「すまい給付金」制度の対象外となる可能性があります。
すまい給付金は、住宅ローンを利用しない場合は50歳以上の方のみに限定されています。
つまり、50歳以下の方が家を一括で買う場合は、すまい給付金が出ませんので気をつけてください。
手元の現金が大幅に減る
現金一括購入の最大の欠点は、お金が大幅に減ってしまうことです。
手元資金に余裕がある時は一括購入しても生活に支障は出ませんが、貯金が資金ギリギリになっている状態で一括で家を買うのはおすすめしません。
住宅購入後は固定資産税や修繕費用、さらに家族との生活費や住民税、所得税の負担はのしかかってきます。
一括購入で資金を使ってしまい、生活に困窮しないために貯蓄と生活資金のバランスを考えながらどうするか検討してください。
家の一括購入で税務署から連絡がくる可能性も
家の一括購入をする場合は、税務署から確認が入るかもしれません。
購入資金がなかった場合は贈与などがなかったかの確認や資金の調達はどのように行ったのかなどを把握するために、税務署が連絡を行います。
上記の確認を行うために、税務署から一括購入者に対して文書にてランダムで連絡がいきます。
現金一括と住宅ローンを組んだときのシミュレーションを徹底比較
現金一括か住宅ローンを組んで家購入するかを迷った場合は、事前にシミュレーションすることが大切です。
この章では、以下の条件で現金一括と住宅ローンを組んだ際のシミュレーションをします。
住宅購入金額:4000万円
頭金:400万円(相場の10%で計算)
返済期間:最長の35年間
また、購入のために住宅購入金額以外に以下の諸経費がかかると想定します。
項目 | 現金一括 | 住宅ローン |
仲介手数料 | 126万円 | 126万円 |
登記・登録免許税 司法書士依頼費用 |
約80万円 | 約80万円 |
住宅ローン事務手数料 | 0円 | 5万円 |
住宅ローン保証金 | 約50万円 | 約50万円 |
団体信用生命保険(フラット35の場合) | 0円 | 約200万円 |
住宅ローン抵当権設定登記・司法書士依頼料 | 0円 | 約25万円 |
不動産取得税 | 約60万円 | 約60万円 |
合計諸経費 | 約316万円 | 約546万円 |
現金一括のシミュレーション
現金一括でシミュレーションした場合は、住宅購入費用の4000万円に加えて諸経費がかかってきます。
現金一括で住宅を購入した場合の支払い金額は以下のようになります。
4,000万円(住宅購入費)+316万円(諸経費)=4,316万円
したがって、一括で家を4,000万円購入する場合は4300万円前後の支払いを一括で行います。
住宅ローンを組んだ場合のシミュレーション
先ほどの条件で住宅ローンを組んだ場合は、頭金が10%分用意されているので3600万円分の住宅ローンを組みます。
住宅ローンの金利として、3600万円を35年ローンを組んで返済した場合は諸経費とは別で利子を668万円分支払います。
住宅ローンを組んだ場合の総支払額は以下の通りです。
400万円(頭金)+3,600万円(借入金額)+668万円(利息)+626万円(諸経費)=5294万円(総支払額)
住宅ローンを組んだ場合は、支払い総額が5300万円近くになり、現金一括購入と比べると1000万円近く余計に支払う形となります。
家を一括購入するメリット・デメリット まとめ
家を一括で購入する利点と欠点について今回は紹介しました。
一括購入の利点(メリット)は利子や諸経費などの負担も少ないという点です。
一方で、資金が一気に減少することや住宅ローン控除、すまい給付金の受給資格がないなどの欠点(デメリット)も。
なお、住宅ローン控除を利用することで、ケースによっては一括購入するよりも支払いが苦しくならないという場合もあります。
ローンを組むのか一括で買うのかは、それぞれの利点・欠点を理解した上でシミュレーションサイトを活用して検討することで、より良いプランを立てられるようになります。