【離婚】ローン返済中の住宅を売却する場合は?支払い義務を紹介
2023年03月02日
「離婚したら、マイホームはどうする?」
離婚をした際、夫婦で購入した家は一般的に売却することが多いのですが、中には夫もしくは妻が住み続けることもあります。
売却するにしても住み続けるにしても、ローンの支払いなど金銭面がどのようになっているのか気になりますよね。
結論からお伝えすると、売却して「ローンの残高が残った場合」や「完済して余った財産」の財産分与に関しては家庭の状況や離婚理由によって変わります。
共働きでお互いに収入の差が少なければ折半となったり、子供がいる場合は養育費なども関係してくるので話し合いで決めたりします。
本記事では、結婚後にマイホームを購入し住宅ローンを返済中に離婚をした場合について、支払い義務や確認事項・注意点に関して紹介します。
記事の監修者
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株式会社サプライズコンシェルジュ 代表取締役
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不動産売買仲介・不動産買取歴10年以上
大手不動産会社で売買仲介営業(不動産売買取引100件以上)→不動産テック上場企業の名古屋支社立ち上げ・不動産屋約200社のCS担当→不動産売却マッチングサービス「いえうるん」リリース
資格宅地建物取引士
事業許認可宅地建物取引業 愛知県知事(1)第24918号
記事の監修者(顧問弁護士)
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星ヶ丘法律事務所顧問弁護士
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■プロフィール
平成16年北海道大学法学部卒業 平成20年名古屋大学法科大学院卒業 平成24年弁護士登録 名古屋市内の法律事務所で勤務 平成31年星ヶ丘法律事務所開設
資格弁護士
離婚時に住宅ローンが残っている場合どうなるの?
離婚時にマイホームを売却せずに住み続けることはできます。
ただ、ライフプランの前提が崩れることで、売却してローンを完済したいという方も多いでしょう。
離婚して「家を売却する場合」「住み続ける場合」において、どのように財産分与を行うべきなのか紹介します。
家を売却し、住宅ローンの完済を目指す場合
家を売却してお互いに新たな住居で生活していく場合、売却して住宅ローンが完済できるかどうかを考えましょう。
もし売却価格が住宅ローンの残債を上回った場合は、その差額が財産分与の対象になります。
財産分与の割合は原則1:1です。
しかし、離婚後に元配偶者の生活が苦しくなるとわかっていたり、片方が一方的に離婚の原因を作っていたりした場合などは財産分与の割合が変わってきます。
また、子供がいる場合は養育費として相殺されることもあります。
売却価格が住宅ローンの残債を下回った場合は、残りを完済するために残債を支払わなければなりません。
このとき、残りの住宅ローンを支払わなければならない方は「住宅ローンの名義人」です。
形式上は名義人が支払わなければなりませんが、内訳として折半するかどうかなど、支払い方法は話し合いで決めることが通例です。
住宅ローンの返済をしながら家に住み続ける場合
住宅ローンの名義人であれば、家に住み続けることもひとつの手段です。
ただ、連帯保証人が元配偶者である場合、残り数年〜数十年もの間、相手側にも責任を負わせてしまうことになります。
住宅ローンの名義人ではない方が家に住み続ける場合は、以下のような懸念があります。
- 名義人が突然ローンを支払わなくなるかもしれないリスク
- 家そのものが名義人の財産として扱われるリスク
- 元配偶者の財産として売却されてしまうリスク
相手の滞納が続けば突然立ち退きを強いられてしまうこともあるため大きなリスクといえます。
立ち退きを強いられるリスクを回避するために住宅ローンの名義を変更しようにも、基本的に住宅ローンの名義変更は金融機関側に断られます。
ローン中の家を売却する場合の確認事項
住宅ローンを借りている最中の家を売却する際は、「支払い義務がどうなっているのか」「そもそも売却できる価格なのか」など、確認しておくべき事項がいくつかあります。
- 家や土地など不動産の名義確認
- 住宅ローンの名義確認、およびローンの詳細
- ローンの残債と家の売却価格
確認すべき事項を上記3つにまとめて簡単に紹介します。
家や土地など不動産の名義確認
不動産の名義は一般的には世帯主の「単独名義」であることが多いですが、夫婦2人など複数で所有する「共有名義」の場合もあります。
単独名義であれば名義人の意向で自由に売却できますが、共有名義の場合は名義人全員の同意がなければ売却することができません。
例えば、すでに別居をしている場合でも共有名義であれば連絡を取って同意を得なければならないので注意しましょう。
住宅ローンの名義確認、およびローンの詳細
住宅の売却後にローンの残債がある場合、住宅ローンの名義によって支払い義務を負う人が変わってきます。
住宅ローンは夫婦が共働きであるか否かで借りる方法が変わることが多いです。
共働きではない場合:収入がある方が単独でローンを借りている
共働きの場合:「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」のいずれかで借りている
共働きではない場合で単独で住宅ローンを借りている場合、基本的に保証人はいません。
そのため、住宅ローンの支払い義務は名義人ひとりが背負うことになります。
共働きであっても一方の収入が大きく、単独で住宅ローンを借りている場合もありますが、「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」のいずれかで住宅ローンを借りていた場合は夫婦共に支払い義務が生じます。
上記3つの違いは「連帯債務」は最初から支払い義務が2人にあり、「連帯保証」と「ペアローン」は、最初に借りた人に支払い義務が発生することです。
払えなくなった場合に保証人(ペアの一方)が肩代わりになります。
ただし、不動産売却において住宅ローンを支払いきれず、ローンを残したまま家の売却を完了することはできません。
つまり、借りた人が支払えない分は保証人が支払う必要があるため「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」のいずれであっても夫婦共に支払い義務が発生します。
ローンの残債と家の売却価格
住宅ローンの残債は金融機関から送られてくる返済予定表(償還表)に記載されています。
記載内容は、月々の返済額とその元金と利息の内訳、融資残高がありますので、現在の月の融資残高の欄を見て確認しましょう。
家の売却価格は、不動産会社に売却査定依頼をすることで把握できます。
家の売却価格からローンの残債を差し引いてプラスであれば「アンダーローン」、マイナスであれば「オーバーローン」です。
アンダーローンであれば、残った財産を財産分与で分配すれば良いのですが、オーバーローンであるときは基本的に家の売却を完了することができません。
他人に引き渡す際は、住宅ローンの完済が必要です。
オーバーローン時の対応方法は「家の売却はオーバーローンだとできない?調べ方や対処法を解説」で詳しく記載をしております。
家を売却してもローンを完済できない場合
そもそもなぜオーバーローンだと売却できないのでしょう。
住宅ローンが残っている家には借入先の金融機関による「抵当権」が設定されています。
抵当権とは、「ローンが支払えなくなったときに差し押さえることができる権利」のことで、抵当権が設定されている限り、家はお金を借りるための「担保」になっている状態です。
抵当権が設定されていてもアンダーローンになる際は、完済見込みがあるため通常通り売却の手続きができます。
また、オーバーローンの場合であってもローンの残債分を現金で補えるのであれば手続き可能です。
しかし、身の回りにあるものを全て売っても完済できないときは、「任意売却」をしなくてはいけません。
任意売却とは不動産の専門家に依頼して抵当権が設定されたまま売却する手続きを行うことです。
任意売却は金融機関にとって不利で交渉も難しいため、任意売却を受け付けていない不動産会社も多くあります。
もし、オーバーローンで任意売却をしなければならないという場合は、任意売却の実績がたくさんある会社を見つけることが大切です。
任意売却を行いたい方は、いえうるんへご相談ください。
離婚による住宅ローンの支払い義務について
住宅ローンの支払い義務がある方は「ローンの名義人」です。ただし、名義人ではない場合でも支払わなくていいかは家庭内の事情によって変わります。
住宅ローンの支払いについて決めずに離婚してしまうと、支払いのトラブルになる可能性があります。
そのため、トラブルを回避する対策は、住宅ローンに関してのトラブルを予測し、あらかじめ話し合い、合意書を作っておくことです。
とくに以下がトラブルになりがちなため参考にしてみてください。
- 所有権について:いつ、誰が取得するか
- 住宅ローンの負担について:誰が負担するか、支払い方法をどうするか
- 住宅ローンの返済を滞った場合について:所有権の移転の要否
- 登記について:誰に移転するか、移転の時期、仮登記の要否
- 固定資産税の負担について:誰が負担するか、いつからの分を負担するか
- 使用権限を認める場合について:内容、期間、解除原因等
まとめ:ローンの支払い方法を話し合うことが重要
離婚した場合の住宅ローンの支払い義務は名義人にありますが、名義人が支払えない場合は連帯保証人等が保証します。
保証人ではない場合も、事前に住宅ローンの支払いに関して話し合っておくことが大切です。
住宅ローンの残債が家の売却価格を上回ってオーバーローンになっている場合は住宅の売却ができない可能性があります。
オーバーローンが不安という方は、まずは不動産のプロの「いえうるん」へご相談ください。